WANKOVISTA JOURNAL / VOL.030
🐾 犬の心理・行動学犬は飼い主の
「ウソ」を見抜く!?
信じる・信じないを決める、
犬の意外な賢さ
「こっちだよ!」と指さしたのに、おやつは反対側。
そんなとき犬は、次も同じ人を信用するのでしょうか?
チワワと一緒に、ちょっと驚く研究をのぞいてみましょう。
先に答えを少しだけ。犬は、人が教えてくれた情報の「当たり・ハズレ」を参考にして、次の行動を変えることがあります。ただし、人間と同じ意味で「ウソをつく気持ち」を読み取れると証明されたわけではありません。
01 / THE BIG QUESTION
「ウソがバレた」って、
実際にはどういうこと?
おやつを持っていないのに「あるよ〜」と手を差し出したら、愛犬にジトッと見つめられた。そんな経験はありませんか?
犬は人間の言葉の意味をすべて理解しているわけではありません。それでも、私たちの手の動き、視線、声、これまでの経験を手がかりに行動しています。
犬は、合図を出した人の過去の正確さに応じて反応を変えることがある。
犬が人間の「だますつもり」という内心まで、必ず理解しているかどうか。
02 / RESEARCH STORY — 2015
指さしを一度外された犬は、
次もその人を信じる?
2015年、京都大学などの研究チームが、犬が人の指さしをどう受け取るか調べました。舞台は「おやつの入った容器はどっち?」という実験です。
人がおやつ入りの容器を示す。多くの犬は、その合図に従いました。
中身を見せたあと、人が空の容器を指さす場面を経験します。
最初と同じ条件なのに、同じ人の指示に従う犬は少なくなりました。
「この人の合図、
いつも正しいわけじゃないかも?」
さらに別の人が指さすと、犬たちはその新しい人の指示を再び利用しました。つまり単に実験に飽きたのではなく、合図を出す相手の信頼性を区別した可能性があるのです。[原著論文]
03 / RESEARCH STORY — 2021
では犬は「相手が知っているか」
も考えている?
2021年に発表された研究では、260頭の犬を対象に、おやつの隠し場所を別の容器に移す実験が行われました。
どちらの条件でも、人は実際には空の容器を示します。
犬たちは平均すると、移動を見ていなかった人が誤った場所を示した場合のほうが、その指示に従いやすい結果でした。研究者は、犬が相手の情報状態に関係する違いに反応した可能性を指摘しています。[原著論文]
- 犬は人の指さしや視線を、行動のヒントとして活用する。
- 以前の合図の正確さによって、反応が変わることがある。
- 人が何を見聞きしているかに関係する情報にも反応する可能性がある。
- 「相手の悪意やウソの意図」を理解したかどうかは、引き続き研究課題。
04 / EVERYDAY LIFE
日常の「今度ね」が、
愛犬との会話を難しくする?
ここからは、研究結果そのものではなく、飼い主さんが日常で取り入れられるコミュニケーションの工夫です。
たとえば「おいで」は、毎回同じ場面や意味で使えているでしょうか。叱るために呼んだり、来なかったときに何度も繰り返したりすると、犬がその合図を理解しにくくなることがあります。
今日から試せる、3つの小さな習慣
- 言葉をそろえる:家族みんなで「おいで」「まて」などの合図を統一する。
- できた瞬間に伝える:成功したら褒める、おやつを渡すなど、ポジティブな経験につなげる。
- 犬の様子を尊重する:戸惑い・緊張のサインがあれば無理に続けず、わかりやすくやり直す。
05 / LITTLE QUIZ
研究を読んだあなたへ。
チワワからの3問クイズ!
INTERACTIVE QUIZ
犬の気持ち、どこまでわかった?
選んだらすぐに解説が表示されます。気軽にチャレンジ!
Q1. 2015年の実験で、犬が変えたのは?
Q2. 2021年の研究で検討されたのは?
Q3. 現時点の研究から言えることは?
0 / 3問に回答
EVERYDAY CHECK
愛犬に伝わりやすい合図チェック
できている項目にチェック。点数で愛情を測るものではなく、明日の工夫を見つけるためのセルフチェックです。
チェックを入れて、今できていることを確認してみましょう。
06 / KEEP A LITTLE NOTE
今日の「伝わった!」を
メモに残してみよう。
犬とのやりとりは、毎日の小さな積み重ね。3日後に読み返すと、ちょっとした成長に気づけるかもしれません。
COPYABLE NOTE
愛犬との合図メモ
入力内容はこの画面の中だけで扱います。保存・送信はせず、コピーして好きな場所に記録できます。
07 / FAQ
気になる疑問を、もう少し。
犬は「お散歩」という言葉を理解するの?
犬は、繰り返し聞く言葉と、そのあとに起こる出来事を結びつけて学習できます。ただし言葉の理解には個体差があり、人間と同じように文章を理解しているとは限りません。
飼い主が一度間違えたら、もう信頼されない?
そのように考える必要はありません。研究で示されたのは特定の課題における反応の変化です。犬との関係全体が一度の失敗で決まるわけではありません。
愛犬の反応を確かめるために、わざとだましていい?
おすすめしません。研究を家庭で再現する必要はありません。おやつや安心できる居場所を使った前向きな練習で、合図が伝わるかを確認しましょう。
チワワ以外の犬種でも同じ?
犬は犬種・年齢・経験などによって反応が異なります。今回の写真はチワワですが、紹介した研究はチワワだけを対象にしたものではありません。
SOURCES / 参考文献
この記事の研究情報
以下の学術論文を参考に、確認できた結果と推測を分けて紹介しました。
- Takaoka, A., et al. (2015). Do dogs follow behavioral cues from an unreliable human? Animal Cognition 18, 475–483. PubMedで読む(DOI: 10.1007/s10071-014-0816-2)
- Lonardo, L., et al. (2021). Dogs follow human misleading suggestions more often when the informant has a false belief. Proceedings of the Royal Society B 288, 20210906. 論文全文を読む(DOI: 10.1098/rspb.2021.0906)
- Pelgrim, M. H., et al. (2021). What's the point? Domestic dogs' sensitivity to the accuracy of human informants. Animal Cognition 24, 281–297. 論文全文を読む(DOI: 10.1007/s10071-021-01493-5)
「この人といると安心」と思ってもらえる毎日を。
愛犬との会話に、今日からひとつ優しい工夫を。
WANKOVISTA JOURNALは、そんな毎日を応援しています。