WANKOVISTA JOURNAL / VOL.030

🐾 犬の心理・行動学

犬は飼い主の
「ウソ」を見抜く!?
信じる・信じないを決める、
犬の意外な賢さ

「こっちだよ!」と指さしたのに、おやつは反対側。
そんなとき犬は、次も同じ人を信用するのでしょうか?
チワワと一緒に、ちょっと驚く研究をのぞいてみましょう。

✍️ VISTA SHOP編集部📖 読了目安 約8分🗓️ 制作 2026年10月23日
クリーム色のロングコートチワワがおやつを見つめて首をかしげる
ねえ、それって本当?

先に答えを少しだけ。犬は、人が教えてくれた情報の「当たり・ハズレ」を参考にして、次の行動を変えることがあります。ただし、人間と同じ意味で「ウソをつく気持ち」を読み取れると証明されたわけではありません。

飼い主えっ、じゃあ「お散歩行くよ!」って言って行かなかったら、バレるってこと?😳
編集部そう感じる場面はあるかもしれませんね。でも研究でわかったことと、日常のエピソードは分けて考えてみましょう!

「ウソがバレた」って、
実際にはどういうこと?

おやつを持っていないのに「あるよ〜」と手を差し出したら、愛犬にジトッと見つめられた。そんな経験はありませんか?

犬は人間の言葉の意味をすべて理解しているわけではありません。それでも、私たちの手の動き、視線、声、これまでの経験を手がかりに行動しています。

飼い主の顔を見つめ、何かを考えるように首をかしげるチワワ
「今の合図、信じていい?」そんな表情に見えることも。
わかっていること

犬は、合図を出した人の過去の正確さに応じて反応を変えることがある。

まだ断定できないこと

犬が人間の「だますつもり」という内心まで、必ず理解しているかどうか。

飼い主「ウソを見抜く」と「この人の指さしは当たらないと学ぶ」は、違うんだね。
編集部その通り! その違いを知ると、研究がもっと面白くなります。

指さしを一度外された犬は、
次もその人を信じる?

2015年、京都大学などの研究チームが、犬が人の指さしをどう受け取るか調べました。舞台は「おやつの入った容器はどっち?」という実験です。

テーブルに置かれたごほうびをじっと見つめるチワワ
「こっちに入ってるよ」と言われたら、あなたの愛犬はどうする?
STEP 01正しい場所を指さす

人がおやつ入りの容器を示す。多くの犬は、その合図に従いました。

STEP 02空っぽを指さす

中身を見せたあと、人が空の容器を指さす場面を経験します。

STEP 03再び正しい場所を指さす

最初と同じ条件なのに、同じ人の指示に従う犬は少なくなりました。

「この人の合図、
いつも正しいわけじゃないかも?」

さらに別の人が指さすと、犬たちはその新しい人の指示を再び利用しました。つまり単に実験に飽きたのではなく、合図を出す相手の信頼性を区別した可能性があるのです。[原著論文]

ここがポイント:この実験の中心は「過去に外した人の指さしを信用するか」です。「犬は飼い主が意図的にウソをついたと判断した」という結果ではありません。
飼い主合図を出す人ごとに学べる可能性があるなんて、思っていた以上に観察してる!
編集部犬は私たちの行動をよく見ています。だからこそ、日々の伝え方も大切なんですね。

では犬は「相手が知っているか」
も考えている?

2021年に発表された研究では、260頭の犬を対象に、おやつの隠し場所を別の容器に移す実験が行われました。

飼い主の手元のおやつを見つめ、指示に注目するチワワ
指さしを見るだけでなく、「この人は場所を知っている?」も手がかりになるのでしょうか。
ざっくり実験イメージ
👀 移動を見ていた人おやつが新しい容器に移ったことを知っている。
🙈 移動を見ていない人おやつは最初の場所にあると思っている。

どちらの条件でも、人は実際には空の容器を示します。

犬たちは平均すると、移動を見ていなかった人が誤った場所を示した場合のほうが、その指示に従いやすい結果でした。研究者は、犬が相手の情報状態に関係する違いに反応した可能性を指摘しています。[原著論文]

誤解しないでね:犬が全頭同じ行動をとったわけではありません。犬種などによる違いも報告されており、「ウソを見抜く能力が完全に解明された」という意味ではありません。
研究から見えてくること
  • 犬は人の指さしや視線を、行動のヒントとして活用する。
  • 以前の合図の正確さによって、反応が変わることがある。
  • 人が何を見聞きしているかに関係する情報にも反応する可能性がある。
  • 「相手の悪意やウソの意図」を理解したかどうかは、引き続き研究課題。

日常の「今度ね」が、
愛犬との会話を難しくする?

ここからは、研究結果そのものではなく、飼い主さんが日常で取り入れられるコミュニケーションの工夫です。

たとえば「おいで」は、毎回同じ場面や意味で使えているでしょうか。叱るために呼んだり、来なかったときに何度も繰り返したりすると、犬がその合図を理解しにくくなることがあります。

屋外の芝生を楽しそうに駆けてくるチワワ
わかりやすい合図と成功体験を重ねることが、毎日のコミュニケーションの助けになります。

今日から試せる、3つの小さな習慣

LOVE & TRUST / 信頼を育てるヒント
  • 言葉をそろえる:家族みんなで「おいで」「まて」などの合図を統一する。
  • できた瞬間に伝える:成功したら褒める、おやつを渡すなど、ポジティブな経験につなげる。
  • 犬の様子を尊重する:戸惑い・緊張のサインがあれば無理に続けず、わかりやすくやり直す。
飼い主「うちの子はウソを見抜く!」って試すより、普段の伝え方を見直すほうがいいんだね。
編集部そう! わざと何度もだましたり、怖がらせたりして確かめる必要はありません。犬が安心して学べることがいちばん大切です。

研究を読んだあなたへ。
チワワからの3問クイズ!

INTERACTIVE QUIZ

犬の気持ち、どこまでわかった?

選んだらすぐに解説が表示されます。気軽にチャレンジ!

Q1. 2015年の実験で、犬が変えたのは?

Q2. 2021年の研究で検討されたのは?

Q3. 現時点の研究から言えることは?

0 / 3問に回答

飼い主に優しく撫でてもらい、安心した表情のチワワ
「わかるよ」より「わかり合おう」。毎日のやりとりを大切に。

EVERYDAY CHECK

愛犬に伝わりやすい合図チェック

できている項目にチェック。点数で愛情を測るものではなく、明日の工夫を見つけるためのセルフチェックです。

チェックを入れて、今できていることを確認してみましょう。

今日の「伝わった!」を
メモに残してみよう。

犬とのやりとりは、毎日の小さな積み重ね。3日後に読み返すと、ちょっとした成長に気づけるかもしれません。

COPYABLE NOTE

愛犬との合図メモ

入力内容はこの画面の中だけで扱います。保存・送信はせず、コピーして好きな場所に記録できます。

飼い主今日から「できなかった」だけじゃなく、「伝わった!」も見つけてみる!
編集部素敵です。愛犬の目線に合わせた一歩が、いちばんの近道かもしれませんね。

気になる疑問を、もう少し。

犬は「お散歩」という言葉を理解するの?

犬は、繰り返し聞く言葉と、そのあとに起こる出来事を結びつけて学習できます。ただし言葉の理解には個体差があり、人間と同じように文章を理解しているとは限りません。

飼い主が一度間違えたら、もう信頼されない?

そのように考える必要はありません。研究で示されたのは特定の課題における反応の変化です。犬との関係全体が一度の失敗で決まるわけではありません。

愛犬の反応を確かめるために、わざとだましていい?

おすすめしません。研究を家庭で再現する必要はありません。おやつや安心できる居場所を使った前向きな練習で、合図が伝わるかを確認しましょう。

チワワ以外の犬種でも同じ?

犬は犬種・年齢・経験などによって反応が異なります。今回の写真はチワワですが、紹介した研究はチワワだけを対象にしたものではありません。

この記事の研究情報

以下の学術論文を参考に、確認できた結果と推測を分けて紹介しました。

  1. Takaoka, A., et al. (2015). Do dogs follow behavioral cues from an unreliable human? Animal Cognition 18, 475–483. PubMedで読む(DOI: 10.1007/s10071-014-0816-2)
  2. Lonardo, L., et al. (2021). Dogs follow human misleading suggestions more often when the informant has a false belief. Proceedings of the Royal Society B 288, 20210906. 論文全文を読む(DOI: 10.1098/rspb.2021.0906)
  3. Pelgrim, M. H., et al. (2021). What's the point? Domestic dogs' sensitivity to the accuracy of human informants. Animal Cognition 24, 281–297. 論文全文を読む(DOI: 10.1007/s10071-021-01493-5)
本記事は犬の認知研究を一般向けに紹介するものです。写真は記事のイメージであり、研究実験の記録写真ではありません。
ウソを見抜けるかより、
「この人といると安心」と思ってもらえる毎日を。

愛犬との会話に、今日からひとつ優しい工夫を。
WANKOVISTA JOURNALは、そんな毎日を応援しています。

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