帰宅したら、愛犬がしっぽをブンブン! 「あ、喜んでくれてる」と思う瞬間って、うれしいですよね。
でも、そのしっぽの振り方には、まだ知らないメッセージが隠れているかもしれません。
「右に振る」と「左に振る」。
犬にとっては、同じじゃない?
- 研究では、ポジティブな刺激に右寄り、緊張を伴う刺激に左寄りの傾向が観察されています。
- ただし右=必ず嬉しい、左=必ず怖いと判定できるわけではありません。
- 実際の気持ちは、しっぽだけでなく耳・目・体の力み・状況を一緒に見ましょう。
01 / INTROしっぽを振っていたら、
うれしい……とは限らない!
犬は言葉の代わりに、目線、耳、体の向き、口元、そしてしっぽを使って気持ちを表現します。だから、しっぽだけを切り取って解釈すると、勘違いすることも。
では、しっぽの左右の偏りは何を教えてくれるのでしょうか?
02 / SCIENCE研究でわかった、
しっぽの「左右の違い」
2007年と2013年に発表された研究は、しっぽの振り方を見る視点を変えました。
刺激によって左右の偏りが変わる
飼い主などの刺激を見せたときに、しっぽの振り方が犬自身の右側へ大きく偏る傾向が確認されました。反対に、緊張を伴う刺激では左側に偏る傾向が見られました。
ほかの犬も、その違いに反応する
ほかの犬のしっぽが左側に偏って振られる映像を見た犬は、右側に偏った映像を見たときより、心拍や不安行動の指標が高くなりました。
面白いのは、「犬が左右を使い分けている可能性」だけでなく、見る側の犬も、その違いを感じ取ることが示された点です。
03 / TRY IT「右」と「左」、
どっちから見た方向?
ここはちょっと間違えやすいポイント! 研究でいう右・左は人が正面から見た左右ではなく、犬自身の右・左です。
犬の後ろに立ち、同じ方向を向いているイメージで確認してみましょう。
※これは方向を理解するための模式図です。静止した巻き尾の向きが感情を示すわけではありません。
04 / BODY LANGUAGE「ブンブン!」の意味は、
体全体で読み取ろう
しっぽの左右が研究テーマとして面白い一方で、日常の観察に役立つのは全身のサインです。
リラックス
体がやわらかく、目つきが穏やか。口元も自然で、動きに余裕がある状態。
ちょっと警戒
体が固い、動きを止めて見つめる、耳を緊張させるなど。距離をとって様子を見ます。
不安・困惑
体を低くする、顔を背ける、唇をなめる、後ずさるなど。無理に接近しません。
「振っているから触っても大丈夫」はNG。知らない犬に近づくときは、飼い主に確認し、犬自身が近づくかも見守りましょう。
05 / SHIBA INU柴犬みたいな「巻き尾」は、
どう観察したらいい?
ここで柴犬ならではのお話を。柴犬のしっぽは、くるんと背中側へ巻いていることが多いですよね。
このもともとの巻き方そのものを「右寄りだからうれしい」「左巻きだから警戒」と読むことはできません。研究で調べられたのは、特定の刺激を受けたときの振り動かす方向の偏りです。
- いつもと比べてしっぽの位置や動きが変わったか
- 顔・耳・歩き方・体の力みはいつもどおりか
- 「散歩前」「帰宅時」「知らない犬に会ったとき」など、場面とセットで覚える
見えづらい左右を無理に判定しようとせず、まずは「いつもと違う」に気づけることが大事です。
06 / MINI QUIZここで3問!
あなたは愛犬の気持ちを読める?
知識が身についたか、さっそくチャレンジ。タップすると解説が出ます。
愛犬のしっぽ理解度チェック 🐾
Q1. しっぽの研究でいう「右」とは?
Q2. 左側へ大きく振っていたら?
Q3. 初対面の犬がしっぽを振っている。どうする?
07 / USEFUL TOOL今日から使える!
「愛犬のしっぽ観察ノート」
読むだけで終わらないのがWANKOVISTA JOURNAL。愛犬のいつもの様子を少しだけ記録すると、行動の変化に気づきやすくなります。
愛犬のしっぽ観察ノート ✍️
当てはまる項目を選ぶだけ。メモをコピーして家族と共有できます。
※このノートは行動を記録するためのものです。感情や病気の判定機能ではありません。入力内容は自動送信・自動保存されません。
08 / FAQ最後によくある疑問を解決!
右振りなら絶対に喜んでいるの?
いいえ。研究で報告されたのは左右の傾向であり、個々の犬がその瞬間にどう感じているかを断定できるわけではありません。場面や体全体の動きと合わせて考えましょう。
柴犬の右巻き尾・左巻き尾にも意味がある?
しっぽがもともとどちら向きに巻いているかと、研究対象になった左右への「振る動作」は別のものです。巻き方向だけで感情を読み取ることはできません。
しっぽをあまり振らない犬は、うれしくないの?
犬によって表現の仕方は異なります。穏やかな表情、近寄ってくる様子、くつろぐ姿など、ほかのサインも見てあげましょう。
しっぽを振る犬に近づいてもいい?
しっぽを振ることは、必ずしも友好的であることを保証しません。見知らぬ犬には急に触れず、飼い主に確認して、犬の体の緊張や距離の取り方を尊重しましょう。
今日から、しっぽを
もう少しだけ観察してみよう。
大切なのは「右か左かを当てること」ではなく、愛犬の小さな変化を見逃さないこと。いつも元気に近づいてくれる日、ちょっと慎重な日。しっぽだけじゃなく、愛犬の全身が教えてくれる気持ちを、これからも大事にしていきたいですね。
あなたの愛犬は、どんなときにしっぽを振りますか? 🐕
参考資料・出典
- Quaranta A, Siniscalchi M, Vallortigara G. Asymmetric tail-wagging responses by dogs to different emotive stimuli. Current Biology. 2007;17(6):R199–R201. PubMed(原著論文)
- Siniscalchi M et al. Seeing Left- or Right-Asymmetric Tail Wagging Produces Different Emotional Responses in Dogs. Current Biology. 2013;23(22):2279–2282. PubMed(原著論文)
- RSPCA. Understanding a dog's body language. 犬のボディランゲージ解説