WANKOVISTA JOURNAL / DOG SCIENCE

犬も嬉しくて
涙を流す!?
飼い主との再会で
わかった
驚きの研究

「ただいま!」の瞬間、愛犬の目には何が起きている?
2022年の日本の研究から、犬の涙と人との絆を読み解きます。

犬のおもしろ科学研究の読み解き約7分で読める観察日記・クイズ付き
飼い主と再会し、玄関で嬉しそうに見つめ合うトイプードル
WANKOVISTA JOURNAL · PHOTO 01

玄関のドアを開けた瞬間、しっぽを振って駆け寄ってくる愛犬。その顔を見ると、仕事の疲れも吹き飛びますよね。

「犬もうれしくて泣くのかな?」――そんな疑問に、日本の研究チームが興味深い結果を報告しました。

ただし、ここでいう「涙」は人間のように頬を伝う大粒の涙とは限りません。研究で測定したのは目を潤す涙液の量。その違いも含めて、いっしょに見ていきましょう。

飼い主アイコン
飼い主帰宅すると、いつも全力で迎えてくれるんです。もしかしてあれって、嬉し涙…?
編集部アイコン
編集部その可能性を考えるきっかけになる研究があります。ただし「涙の量が増えた」と「人間のように泣いた」は区別するのがポイントですよ。

飼い主との再会で、犬の涙の量が増えた!?

2022年、麻布大学などの研究チームは、Current Biology に「飼い主との再会が犬の涙液量を増加させる」という研究を発表しました。

18頭最初の実験で測定
5〜7時間飼い主と離れていた時間
最初の5分再会後の測定タイミング

RESEARCH KEY POINT

飼い主と離れた後に再会すると、涙液量が統計的に有意に増加。

親しいけれど飼い主ではない人との再会では、同じ増加は確認されませんでした。

再会した飼い主に優しく抱かれるトイプードル
WANKOVISTA JOURNAL · PHOTO 02

家に帰ったときの愛犬の目は、もしかしたら私たちが思っていた以上にいろいろな反応をしているのかもしれません。

大切なのは「涙液の分泌量が増えた」という結果。すべての犬が目に見える涙を流すわけではなく、涙の量だけで「嬉しい気持ち」を判断することはできません。

どうやって犬の「涙」を調べたの?

研究チームは、目の下に特殊な検査紙を短時間当て、涙で濡れた長さから涙液量を測るシルマー涙液試験を用いました。犬に気持ちを質問する代わりに、目に起こった生理的な変化を調べたのです。

STEP 1|普段の状態飼い主といるときの涙液量を測定。
STEP 2|しばらく離れる5〜7時間の別行動を経て、飼い主と再会。
STEP 3|再会直後に測る再会して最初の5分間に測定し、変化を比較。
扉の前で飼い主の帰りを待つトイプードル
WANKOVISTA JOURNAL · PHOTO 03

さらに、犬にとって顔なじみでも飼い主ではない人との再会と比べる実験も行われました。結果は、飼い主との再会のときに涙液量が増えやすいというものでした。

飼い主アイコン
飼い主じゃあ、毎日帰宅後に目をじーっと見ていれば、愛犬の嬉しさを確認できる?
編集部アイコン
編集部目で見ただけでは測定できないほど小さな変化かもしれません。目元を触ったり、無理に試験したりせず、表情や体全体の様子を穏やかに観察してくださいね。

幸せホルモン「オキシトシン」が関係している?

オキシトシンは、社会的なつながりや親和的な行動と関係するホルモンのひとつ。研究チームは、犬の涙液分泌にもオキシトシンが関わるか検討しました。

研究者が犬の目にオキシトシン溶液を投与した実験では、対照条件に比べて涙液量が増加しました。これにより、再会時の涙液増加にオキシトシンが関与している可能性が示されました。

ご家庭で実験しないでください

この点眼は研究目的で、適切な条件下で行われたもの。オキシトシンなどの薬剤や市販の液体を愛犬の目に入れて確かめることはしないでください。

一方、研究では、人が目に人工涙液のある犬の写真に対して、より世話をしたいと感じる傾向も示されました。ただし、これだけで犬が涙を使って人を意図的に操作しているとはいえません。

「嬉し涙」と「涙やけ」は同じもの?

ここは、飼い主さんにぜひ知ってほしい違いです。研究が扱ったのは再会に伴う一時的な涙液量の変化。一方、涙やけは涙が目の下に長く付着することなどによって毛が赤茶色に変色する状態で、原因はさまざまです。

研究で扱った涙液の変化

再会という状況で、検査によって涙液量が増えたかを比較。目に見える「涙の粒」が必要なわけではありません。

日常の涙やけ・涙目

涙が多い、涙の排出経路の問題、目元の刺激など、複数の理由が考えられます。「嬉しいから」と判断しないことが大切です。

ソファでリラックスして触れ合う女性と犬
WANKOVISTA JOURNAL · PHOTO 05
こんな目の変化は動物病院に相談を
  • 目を細める、閉じたままにする、強くこする
  • 赤み、腫れ、濁り、痛がる様子
  • 黄緑色・血の混じった目やに
  • 急に片目だけ涙が増えた、目元がただれる

急な眼の痛みや異常は早めに受診しましょう。涙を自宅で測ろうとする必要はありません。

普段の目元のケアは、犬の涙やけコラムも参考にしてね。

愛犬のおかえり反応、観察日記をつけてみよう!

喜びの表現は犬によってさまざま。しっぽを振る子、くるくる回る子、静かに体を寄せる子。いつもの愛犬らしさを記録してみませんか?

愛犬との暮らしをノートに記録する飼い主
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WELCOME HOME DIARY

今日の「ただいま!」を記録

実験ではありません。愛犬の様子を振り返るためのメモです。入力内容はこの画面内だけで保持され、ページ再読み込みで消えます。保存したいときはCSVを使用してください。

再会したときの反応(複数選択OK)

記録した「おかえり」0件

まだ記録はありません。今日の様子をひとつ書いてみよう。

※涙の量はこのメモから判断できません。目を刺激する観察・長時間の留守番を意図的に作ることは避けてください。

しばらく続けると、その子ならではの挨拶パターンが見えてくるかもしれません。おもしろさを楽しみながら、無理なく記録してね。

愛犬との再会をもっと心地よい時間にするコツ

「涙が出るか」より大切なのは、帰宅したときに犬自身が安心して過ごせること。4つのコツをご紹介します。

室内で飼い主を見つめる犬の自然な様子
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① 興奮しているときは落ち着いて

大きな声であおらず、愛犬が落ち着いてから挨拶。飛びつきや転倒のリスクにも気をつけましょう。

② 触れ合いは愛犬のペースで

近づいてきたら優しく迎え、距離を取りたいときは尊重。嫌がるのに抱き上げないこと。

③ 暮らしのリズムを大切に

散歩、食事、休息の時間をできる範囲で整え、帰宅後も落ち着ける場所を確保します。

④ 不安が強いときは無理させない

留守番中の破壊・過剰な吠え・強い不安が続くなら、動物病院や行動診療の専門家に相談しましょう。

編集部アイコン
編集部愛犬は「泣いたかどうか」で愛情を測れません。元気に駆け寄る子も、静かに寄り添う子も、その子らしい挨拶を大切にしましょう。

3択クイズ!犬の涙の研究、ちゃんと理解できた?

読んでわかったことを、3問で楽しく振り返ろう。選ぶとすぐに解説が出るよ。

QUIZ 01

2022年の研究で測定したのは?

QUIZ 02

実験で涙液量が増えた状況は?

QUIZ 03

愛犬がいつもより涙目なら、どうする?

YOUR SCORE

0 / 3問 正解

全3問に挑戦してみよう!

犬の涙についてのよくある質問

Q. 犬は人間のように泣きじゃくるの?

今回の研究で確認されたのは涙液量の増加です。人間のように感情で声を上げて泣くことや、頬を大粒の涙が伝うことを証明したわけではありません。

Q. 再会時に涙が見えなければ愛情が薄い?

いいえ。涙の変化は小さく、肉眼では気づかない場合もあります。犬の愛情や信頼を涙の有無で評価することはできません。

Q. オキシトシンは自宅で使ってもいい?

いいえ。論文中の点眼は研究者による実験です。涙を増やすために薬剤などを自宅で点眼しないでください。

Q. 涙やけがひどいのは喜んでいるから?

涙やけは涙の量・排出・目の刺激などさまざまな要因が関係します。涙やけが続く、目が赤い、痛そうにしている場合は動物病院で相談してください。

Q. 長く留守番させれば嬉し涙が増える?

そのような目的で留守番時間を延ばすことはおすすめしません。分離不安やストレスにつながる場合があります。研究の再現は不要で、普段どおりの暮らしのなかで観察しましょう。

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参考研究・情報源

  1. Murata K, et al. (2022). Increase of tear volume in dogs after reunion with owners is mediated by oxytocin. Current Biology. DOI:10.1016/j.cub.2022.07.031
  2. 麻布大学|研究成果のプレスリリース(2022年8月23日)
  3. VCA Animal Hospitals|Eye Issues
  4. VCA Animal Hospitals|Eye Discharge in Dogs

※本記事は研究の概要と、一般的な犬の暮らし・健康管理に関する情報を紹介するものです。犬の感情を目だけで診断することはできません。目の症状が気になる場合は獣医師に相談してください。掲載写真はイメージであり、研究参加犬の実写ではありません。